fiat 500 のギアが入らなくなってしまったとの事で、JAFにて入庫されました。深夜に症状が出てしまったらしく、翌日ご連絡頂きました。
拝見すると、確かにギアが入りません。
昨日はエンジンもかからなかったご様子で・・・さぞびっくりされたでしょうね・・・
早速点検すると、クラッチプレートの移動量が6mm前後。
本来ならば、20mm位の値を出していないといけません。
まず、これが原因でECUが異常と判断し、ギアを入れない様にしている様です。
ここまで来ると、ミッションを降ろさないと診断が出来ませんので、オーナー様の了解を得てミッションを降ろすことに。
今回、水回りの整備とエアコンの整備もあるので、前廻りを豪快にばらしてしまいます。
ラジエターとコンデンサーを外します。外すとこの様なお姿に。
エンジンも簡単に降りそうなお姿になりました。
早速ミッションを降ろします。
オリマシタ。
降ろしてからクラッチ関係を点検すると・・・
いろいろな事が見えてきました。
まずクラッチプレッシャープレート。
段付き摩耗が進んでしまい、見た目でわかるレベルに摩耗しております。
先程のクラッチプレッシャープレートの摩耗部分に作用するクラッチレリーズベアリングです。本来ならばレリーズベアリングがプレッシャープレートに着座しなければなりませんが、摩耗が原因で着座できない状態ですね。
クラッチレリーズベアリングの裏側、クラッチフォークが作用する部分です。
この部分もかなりの摩耗が見られます。なおかつ、左右で摩耗度合が違うといった症状も見られます。
上記の摩耗状態を横から見た図です。ここまでの物は初めて見るレベルかもしれません。
クラッチフォークとレリーズベアリングが当たる部分のフォーク側の図です。
こちらも摩耗が激しいです。
クラッチフォークを抜いていきますが、抜けません。本来ならばすんなり上に抜けてくるはずなのですが、動きが硬く、何だかおかしな感じです。
原因は・・・
曲がってます。
というか、折れてます。
クラックが入ってますね。
今までの部品たちの摩耗やクラックによって生じたクリアランスの総和が冒頭で触れましたクラッチプレートの移動量に影響します。
これで原因が明らかになりましたので、お客様にレポートの上、作業を致しました。
実はこの事象は良く出ております。
40000km から50000kmくらいで起こる可能性のある症状ですので、もしご心配であれば、ご来店頂ければ診断機にて点検致しますので、ご連絡くださいませ。