ホームページよりお問い合わせ頂き、レッカー搬送にてご入庫頂きました。
数時間前まで通常通りギアも入り、走行もできていたのに、駐車場に停めてしばらくするとギアが入らずに走行不能に陥ってしまったとの事でした。
お話しをお伺いした所、走行不能になってしまう前に、いつもとは違う、異音を感じられたとの事。
今回、その感じられた異音が、故障のサインだった様です。
オーナー様は毎日乗っていられるので、いつもと違う音に敏感に反応して頂けるかと思います。
もしそういった異音がされたら、ぜひとも車屋さんに連絡し、状況を伝えた上で支持を仰いで頂ければと思います。
だんだんfiat500も車歴が古くなってきているお車がございます。
かわいいフォルムでわが子の様にかわいがっていただいているオーナー様が殆どです。ぜひ、ぐずる前に車屋に相談してみてください。
いきなりのミッションが外れた状態の写真になってしまいますが・・・
分解する前の診断機による診断では、P060 ミッションコントロールユニット不良のエラーを検出しました。
デュアロジックポンプは作動し、油圧は上がるものの、全くシフトしない状態。
上記のエラーは消去しようとしても消えないといった症状でした。
このエラーですが、今までの経験上、コントロールユニットが悪いのではなく、根本原因は、やはりクラッチ関係の部品がダメになっている可能性が多いです。
コントロールユニットの不良といった事も正直ありました。しかしながら、ほとんどの場合、クラッチ関係の部品が不具合を起こしている場合が多いです。
診断機のデータを確認すると、やはりクラッチストロークの数値異常が認められました。手動でストロークさせると、数値は動きます。
コンピューター自体は正常に数値を読み込んでいる様子です。
となると、やはり前述したクラッチ関係部品が怪しいとなります。
ここで分解が決定です。
まず、ミッションのインプットシャフトの損傷はない様子です。今回、故障初期の段階で不動になってくれたおかげで、この部分の損傷は逃れられました。
しかしながら、損傷が進み、後述するクラッチレリーズベアリングが完全に破損すると、このシャフトが損傷する事が多々あります。
損傷してしまうと、ミッションのケース自体を交換しなければならないといった大事になります。
こういった事を防止するためにも、ぜひ異音や異臭、感じられたら車屋へ・・・
次にクラッチを確認していきます。
真ん中の部分が前述のクラッチレリーズベアリングと呼ばれる部品が当たる箇所です。
ずいぶんと摩耗しているのが見られます。
これがクラッチレリーズベアリングです。このように先ほどの箇所と当たり、クラッチを切ります。
異音の原因はやはりこのクラッチレリーズベアリングが摩耗したことにより、異音を発生させていました。
裏側の部分も摩耗が進んでいます。
クラッチフォークです。
デュアロジックがこのフォークを押し、フォークがクラッチレリーズベアリングを押し、クラッチを切ります。
フォークとクラッチレリーズベアリングが当たる部分の摩耗が見られます。
これが前述のフォークです。
このフォークですが、この症状の場合、たいてい折れております。
このように。
微妙に曲がっているのが見られるかと思います。
この曲がりもしかりなのですが、今回のデュアロジック作動不良の原因がここにあるかと推測されます。
通常、全ての部品が新品であれば、クラッチストローク量が正常の範囲内に収まっているはずです。
しかしながら、各部品の摩耗や上記の様なフォークが折れ、曲がったりした場合、クラッチストロークが正常の範囲を超えます。
多少の範囲超程度であれば、デュアロジックが補正をかけていくと思います。
しかしながら、上記の様に折れ曲がり、あからさまにクラッチストローク量が異常な数値を出した場合、コンピューターが異常すぎると判断し、作動を止めてしまう様です。
今回に関しては止めてくれたので、最悪のミッションケース交換とはならなかったですが、止まらずに動かしてしまう場合もございます。
なので、異常を感じられたらぜひご相談くださいませ。